『すべての仕事はクリエイティブディレクションである。』古川裕也

昨年読んだ本ですが、良書だったので備忘録。

電通クリエイティブのトップであるクリエイティブ・ディレクター・古川裕也さんの著書。
「クリエイティブ・ディレクション」という、 広告業界以外の人にとっては正直謎の仕事を初めて体系化した本です。

宣伝会議の講座で著者を知り、講座を申し込もうとしたら満席で申し込めなかったので、とりあえず本でも読んでおくかと読んでみました。

装丁は真っ白なざらりとした質感の良い紙に黒と銀の箔押し。栞紐は鮮やかなブルー…と、著者の人となりというか、美意識が感じられる装丁デザインです。やっぱり紙の本は良いな!

クリエイティブ・ディレクションの仕事とは、

  1. ミッションの発見
  2. コア・アイデアの確定
  3. ゴールイメージの共有
  4. アウトプットのクオリティ管理

の、4つで成り立っているとのこと。

1. ミッションの発見

ミッションは課題とよく混同されるが、課題とは全く別のもの。課題=困っていること。

ミッションは、「自分たちができることの中でいちばん高度で本質的で世界のためになることとは何か」という問いに対する答えでもある。

『すべての仕事はクリエイティブディレクションである。』古川裕也

ミッションは課題よりも必ず次元を上げて行う。課題よりも視座が上がった状態になっていなければならない。

2. コア・アイデアの確定

まずブランドの本質、ブランドの社会的意義を定義する。その、価値定義をワンフレーズに凝集したものがコア・アイデア。ミッションを果たすのに一番角度が高いアイデアに追い込む。

3. ゴールイメージの共有

ゴールイメージの共有とは、ターゲットとの接触面を設計することである。

『すべての仕事はクリエイティブディレクションである。』古川裕也

ターゲット(受け手)みんながポジティブにコア・アイデアを受け取れるように誘導する。どこで、いつ、どんな風にブランドと遭遇するか、まで設計する。

4. アウトプットのクオリティ管理

これまでの3つのフェーズがどれ程優れていたとしても、最終的なアウトプットがダメならすべて台無し。傑作にならざるを得ないような状態に、仕事とチームを追い込むこと。

わたしは広告エージェンシー出身でも何でもないのですが、アートディレクターの役割をすることがあるので、この最後のフェーズからしか登場しないんだなぁ…と自分の仕事の範囲が結構狭いことに気付かされました。

クリエイティブ・ディレクション体系化の話半分、あとは実例紹介や対談なので、わりとサラッと読めてしまう本でした。

すべての仕事がクリエイティブ・ディレクションかというと、すべての仕事を知らないので何とも言えないのですが、デザイナーの仕事は(人によっては、特に事業会社では)クリエイティブ・ディレクションに近しい、という気がしました。

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